嘘をついていなくても印象は操作できる。マスメディアのミギ・ヒダリ

2017年4月19日すぐに役立つ(ライフハック・実践・知識)

銃剣術の話が話題になった。
A新聞社の記事によると、教育勅語やら銃剣術やらキナ臭さを感じる話題が多い。

でも、それって本当にそうなんだろうか?

まとめて、記事にしようと思っていたら、リテラシーの高い方が先に増田にまとめておられたので、まずその記事を紹介。

前提のA新聞社の記事

このほか「学校や地域の実態に応じて種目が選択できるよう」として、中学の武道に新たに「銃剣道」を加え、武道9種目を示した。

朝日新聞社記事

この記事から受ける胡散臭さ、きな臭さは計り知れない。

中学武道に追加の「銃剣道」とは? 旧日本軍訓練の流れ

31日に告示された中学校の新学習指導要領で、中学校の保健体育の「武道」に新たに盛り込まれた「銃剣道(じゅうけんどう)」。松野博一文部科学相は同日の会見で「競技人口や国体種目であることなども判断材料としてほしいとの意見を踏まえた」と述べたが、旧日本軍の戦闘訓練に使われていた「銃剣術」の流れをくむだけに、波紋が広がっている。

朝日新聞社記事

こちらも、「銃剣道」は、戦前からの軍隊教育の流れを汲んでいることが、目立って読み取れる記事になっている。

これを読んだ人は

「やっぱり、なんだかキナ臭い」

と感じる、そういう印象を持つことになるんだと思う。

増田の指摘

上の朝日新聞社の記事によると、「わざわざ」新しく追加したような印象を受ける。

しかし、どうやらそうでもないんじゃないかという論説が増田に上校された。

今回の話は新学習指導要領案で銃剣道のみ削除されかかったのがやっぱ残っただけの話。

「銃剣道」は9種目の一つなので、旧指導要領から存在し、新指導要領でも残った。

要するに元からあったものの残留の決定。

これを「復活」「新たに追加」という見だしと表現で報じるのは限りなくイメージ操作意図の報道だと思う。

増田より

ここでは、今までの流れでそのまま残っただけということが指摘される。

調査

で、wikipediaを調べてみると、

銃剣道(じゅうけんどう)は、明治時代にフランスから伝来した西洋式銃剣術に日本の槍術の心技・剣道の理論等を日本人に合うように研究・改良されて成立した銃剣術が1956年に近代スポーツとして競技武道化したもの。剣道のような防具を身に付けて竹刀の代わりに木銃(もくじゅう)を用いて相手と突き合う競技である。

wikipediaより

とある。

wikipediaの記事の根拠は、「銃剣道とは」という全日本銃剣道連盟という団体のものが根拠とあるから、そちらを当たってみるとこんなのが出てきた。

戦後における銃剣道は、昭和31年全日本銃剣道連盟が結成され、現代の武道として、戦前の戦技的内容を完全に払拭して、しかも古来伝統武道の真髄を継承 しつつ、全く新しい大目標にむかって競技会を主体とした近代的スポーツとして再出発したものである。従って、その修練の目標や理論、使術等については槍術や 剣道と全く同様のものであり、 現代社会人としての人間形成に資することを目指したものである。

銃剣道とは – 全日本銃剣道連盟より)

どうやら、きちんとスポーツとして整備が進んでいるらしい。

それを踏まえた上で、指摘にあったような事実が武道にあるかどうかを調べてみる。

武道の定義

 武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、人間形成の道であり、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の総称を言う。

平成二十六年二月一日制定
日本武道協議会制定

日本武道館HPより

確かに、武道の定義は存在したし、そこに「銃剣道」は含まれていた。

で、先ほどみたやつをもっかい見て欲しい。

増田さんの方にはこうある。

今回の話は新学習指導要領案で銃剣道のみ削除されかかったのがやっぱ残っただけの話。
「銃剣道」は9種目の一つなので、旧指導要領から存在し、新指導要領でも残った。
要するに元からあったものの残留の決定。
これを「復活」「新たに追加」という見だしと表現で報じるのは限りなくイメージ操作意図の報道だと思う。

増田より

そんで、「指導要領 武道」で検索。

するとこんなのが見つかった。

中学校学習指導要領(案)から「銃剣道」が漏れていました。

(中略)

いま国会で審議している来年度予算案の資料にも「武道等指導充実・資質向上支援事業 190,482千円」として「柔道、剣道に加え、新たに相撲、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道に拡充」と記されているにもかかわらず!です。

銃剣道を学習指導要領に 佐藤正久 「守るべき人がいる」 より

つまり現在検討中の案から武道であるはずの「銃剣道」が漏れていた。

なるほど。

しかし、問題は増田さんの指摘の通り、旧指導要領から存在していたのかということだ。

前回の指導要領の改訂においては、武道とダンスが必修化されている。

文部科学省では、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、新学習指導要領では中学校保健体育において、武道・ダンスを含めたすべての領域を必修とすることとしました。

文部科学省webサイトより

そこのページのリンクを辿っていくと、教育指導要領解説を読むことができる。

その中にはこう書いてあった。

「武道」については,従前どおり,「柔道」,「剣道」,「相撲」の中から選択して履修できるようにすることとした。

教育指導要領解説 より

で、一応その末尾に、「日本武道協議会加盟団体実施種目」という項目があり、そこに銃剣道は存在しているが、指導要領の必修のところの選択肢に「銃剣道」は見当たらない。

あれ?

ということは・・・。

事実として正しいのは

増田ではなく、朝日新聞社の報道ということになる。

旧指導要領では、「銃剣道」を選択しても必修の武道を履修したことにはならなかったのだから。

ということで、この記事のタイトルも半ば「釣り」でした。

「朝日新聞の記事には、ミスリードを誘うような、もっと言えば読み手の印象を操作するような意図があると考えるのが妥当だろう。」

という先入観がある人は、そういうバイアスから逃れることができただろうか?

メディアの右・左

ただし、「銃剣道」を選択枝とすることが、ことらさら問題として取り上げるべきことかというと、正直そうでもないと思う。

学校には指導できる先生がいないから、どうせ授業にはならない。

子供達の日常生活に与える影響はほとんどない。

そういう冷静な見方も必要。

そのメディアがどういう論調のメディアであるかということは、一応知っておくべきだろう。

 

この記事のまとめ

インターネットにはいろんな情報が溢れている。

それに飛びつかないで、自分なりに調べてみることが大切。


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